チタンの切削加工

 チタンは一般には難削材と言われており、チッピングや切刃が欠けたり、また工具の磨耗などの問題が発生しやすく、また化学的に活性であるため切りくずが燃えるなどと言うトラブルが発生することもあります。これらのことからチタンは硬い金属と思われがちですが、チタンの硬度はチタン64合金でもビッカース硬度で300前後であり、刃物鋼などと比べるとそれほど硬いわけではありません。実はチタン切削時のこれらの現象は切削抵抗などによるものではなく、切削時の切りくずの出来方に大きな原因があると考えられています。またチタンは熱伝導率が小さいことから工具に切削熱が蓄積しやすく、これが工具の磨耗の一因となります。したがってチタンを切削するときはこれらのことを考慮に入れて工具や切削油剤を選び、切削速度なども低めに設定することが必要です。